概要

 21世紀を迎えた現代は,過去のどの時代にも見られないほど科学・技術が発達し,また国際化が進んできた。それに比して,人間性はむしろ希薄となり,個人の能力を超えて発達していく科学・技術によって従来の価値観が変えられ,その急激な変化にとまどいを感じている人が少なくない。一方,教育現場では対人関係やアイデンティティの問題にうまく適応できない学生をはじめ,新たに様々な問題が生じているのが現状である。
 いかに科学・技術が発達しても,その科学・技術を用いる人間そのものが,優れた識見と豊かな人間性を備えていなければならないということは過去の歴史が明確に示しているところである。ところが,今日の社会では,すべての分野で細分化と専門化が進行しており,その結果,学校教育もまた細分化,専門化がなされている。これは全人教育という面において少し軽視される状況が出てきているのではないかと我々は危惧している。
 そうした点から,本校においては「深く専門の学芸を教授し,職業に必要な能力を育成(学校教育法第70条の2」する専門教科とあいまって,豊かな人間性と優れた識見を備えた学生を育成することが,一般教育科に課せられた教育理念と捉えている。本校の使命の一部にある「豊かな人間性を有し創造力に富む実践的な技術者の育成」のための一翼を担うことこそ,一般教育科の目指す目標なのである。
 高等専門学校は,中学校を卒業した若い15歳の学生を受け入れ,僅か5年間で社会人として必要な一般教養を修得させ,専門の学芸と職業に必要な能力を身につけさせ,専門の技術者として実社会へ送り出さなければならないので,大学等に比して一般教科の任務は重大である。
 本校の一般科目では,人間教育,人格形成を重視し,志操高く,視野広い人間を育成するために,国語,歴史,哲学,倫理・社会,政治・経済,法学,地理の緒科目,健全な心身を形成するために体育科目,豊かな情操を育てるために美術,音楽,書道の芸術科目,さらに,専門教育につながる基礎学力の向上を図るものとして,数学,物理,化学の緒科目が課されている。また,ますます国際化していく社会に適応できる人間を育成するために,英語などの外国語を重視している。また,数学においては習熟度別授業を導入することによりきめの細かい指導を行っている。これにより,従来不足しがちであった演習を積極的に取り入れた授業を行うことに努めている。