読書の森

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私が最近読んだ本(2012/7)

池井戸潤
空飛ぶタイヤ
実業之日本社
K K (3年通信ネットワーク工学科)
 『後悔はしていない。ただほんの僅か、失望しているだけだ。』(本文より)
すべての始まりは、ある中小運送会社の起こした母子死傷事故であった。 世間の注目を集めた事故により、長年取引のあった取引先や銀行でも簡単に見放され、 さらに事故の原因は「運送会社の整備不良」と断定されてしまった。 この結果に納得できなかった運送会社の社長、赤松はトレーラーに欠陥があるのではと考え、 自動車会社の調査結果を疑い始める。
一方、一部の自動車会社の社員やある雑誌記者も事の真相に気づき始めていた。 そんな中、自動車会社とその関係企業間で利権争いが発生して、 当初運送会社に吹いていた逆風は徐徐にその風向きを変え始めた。
『下町ロケット』の著者の代表作であり、第136回直木賞候補作品。 世間の無情さと暖かさが同時に感じられる作品です。
西尾維新
難民探偵
講談社
Y K (3年情報工学科)
 人を寄せ付けない変人作家窓居京樹と、ネットカフェで暮らし、 日雇いバイトで生計を立てる難民探偵根深陽義。 そして、職にあぶれたうら若き女性、窓居証子。 三人の推理で果たして事件は解決するのだろうか?
この本は、成功した作家とネットカフェ難民とを対比して描いており、 その2人に挟まれた証子は何を考えるのか。 就職難とは、格差とは、なんてことを読み取ることができます。
現代社会に対する皮肉を探すのも面白いかもしれません。 私がこの本を借りたのは、作者のファンだったからです。 本作にも、言葉遊びやら上手い言い回しやらがたくさん含まれています。 簡単で分かりやすいところでは名前。 「凶器」に「容疑」だったり。
「西尾維新」作品では入りやすい一冊だと思います。 是非どうぞ。
モネ
ステファニー
グレゴワール
講談社
R H (4年情報工学科)
 この本は前半と後半に分かれており、 前半にモネ自身のおいたちや人柄について書いて、 後半にはモネが描いた絵がタイトルと一緒に図版されています。 モネがどのような気持ちで絵を描いていたのか気になる人、 風景画を詳しい解説と一緒に見てみたいという人はぜひ借りてみてください。
内藤朝雄
いじめの構造
なぜ人が怪物になるのか
講談社現代新書
H Y (4年情報通信工学科)
 最近いじめによる自殺がニュースとして報道され、一つの大きな話題となっている。 思えば昔からこれらはあり、長い間続いてきているといえる。 ではなぜこのような現象が起こってしまうかの解答がこれなのではないかと この本を手にとってみたのだ。 この本に書かれているいじめには様々な側面、社会にとっていじめの役割が描かれていたのである。 これらから社会システムそのもの、 あるいは人間そのものの性質がいじめを生み育んできたことが理解できたのである。 いじめと関わりあいがなかった人もこの機会にぜひこの書を手に取ってみて、 いじめというものの本質と向きあってみてはいかがだろうか。
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