読書の森

読書の森一覧に戻る

私が最近読んだ本(2013/6)

有川浩
空飛ぶ広報室
幻冬舎
K K (通信ネットワーク工学科4年)
 不慮の交通事故でパイロットの夢を断たれた空井が転属となったのは防衛省航空幕僚監部広報室。そこで知ったのは、パイロットの時には気づかなかった自衛隊はあまり世間から興味を持ってもらえないという事実でした。広報室の目的は、自衛隊が災害派遣などの際に容易に出動できるよう、そういう人たちから理解をしてもらうこと。とはいえこの物語を読むまで私も自衛隊に対してあまり興味を持っていませんでした。しかしながら物語を読んで自衛隊の広報は、現実の被害を積み重ねなければ容易に出動できるようにならなかった悲しい事実を、自衛隊を理解してもらうことで少しでも変えようとしていることを知り、受け手である私たちも知ること、知ろうとすることが大切だと気付かされました。
 最後にこの物語の舞台は自衛隊なので、堅苦しい話だと思うかもしれませんが、そういったことはなく、むしろ自衛隊員も私たちと変わらない人が集まっているんだと新しい一面がみられるおもしろい本だと思うので、ぜひ読んでみてください。
柳田理科雄
空想科学
読本7
メディアファクトリー
Y I (4年通信ネットワーク工学科)
 私が最近図書館から借りた本は「空想科学読本7」です。
 この本の内容は、読者から寄せられる多岐にわたる質問に対して、柳田理科雄は一歩も退かず、科学と想像力を武器に、感動と爆笑の結論を導き出す!です。「空想科学読本7」は面白いのでお勧めです。なぜなら、いろんな人がいろんな思いで送ってくれる質問の思いに応えようと、さらに全力を振り絞った果てに完成したのが本書であるからです。質問の意図に本当に応えているか、新しい世界が開ける可能性はないか、徹底的に追及し、近藤ゆたかさんにも多数のイラストを新たに描いてもらっています。
 私が借りた目的は、読者と筆者、空想と科学の熱い戦いを楽しんでいただきたかったからです。「ヘソで茶を沸かすのと電車を素手で止めるのは、どっちがあり得ないですか?」「虎がグルグル回るとバターになりますか?」。筆者は、どう答えればいいんだあ!と頭を抱えつつも、こんな質問をぶつけてもらえる人間が世界中にどれほどいるだろうと思うと、心から幸せな気持ちになるそうです。
恩田陸
私の家では
何も起こらない
メディアファクトリー
S K (4年電子システム工学科)
 この話はジャンルとしてはホラーだと思われるが、一般的な幽霊から逃げ続けるといったようなホラーではない。幽霊自体は出てくるが、それに恐怖するわけではない。この話は、ある家で起こる話をよせあつめた短編集である。それらは全て不思議な話で、とってもドキドキさせられる。1編1編の読み始めは全く怖くないが、最後で「ゾッ」とする展開が待っている。それらが全て同じ家となると関連性までも怖さを感じる。
 私がこの中で1番好きな話は「私は風の音に耳を澄ます」である。家の中にいる女の子が、その子から見える夫婦の風景を語っていく話です。どうやら女の子は家にすむ奥さんに拾ってもらったようなのですが、何ごともなく、家から出れないこと以外は幸せなようなのです。「しかし実は…」大変な秘密があったのです。1つ1つの話をドキドキしながら読むことができます。ぜひ読んでみてください。
乙一
箱庭図書館
集英社
S Y (4年電子システム工学科)
 「箱庭図書館」を読もうと思ったきっかけは、私がもともと著者である「乙一」さんの本が好きだったからです。そして手にとったこの本は、白いカバーに特徴的な字体でかかれたタイトルで、はやく読みたいと思うような本でした。
 内容は、というと、1つの街の中で生活している人達のショートストーリでした。この本に収録されている作品は、集英社のWEB文芸「RENZABURO」の企画であった「オツイチ小説再生工場」からうまれたものだそうです。読者からボツ原稿をおくってもらい、それを著者の乙一さんがリメイクをするという企画だったそうです。そうしてリメイクされうまれた6つの作品、「小説家のつくり方」、「コンビニ日和!」、「青春絶縁体」、「ワンダーランド」、「王国の旗」、「ホワイト・ステップ」です。全て短編ものでしたが、物語を順に読んでいると、少しずつ物語の登場人物につながりがでてきて、とてもおもしろいです。6つの話の中で私が一番気に入っているのは「ホワイト・ステップ」です。雪がいっぱい降った日の話でしたが、読みすすめると心があたたかくなる話でした。
 ぜひ沢山の人に知ってもらいたい本です。
H・P・ラヴクラフト
定本
ラヴクラフト
全集5
国書刊行会
Y K (4年情報工学科)
 コズミックホラー(宇宙的恐怖)を提唱したラヴクラフトの作品集です。この巻には、「闇に囁くもの」「狂気山脈」「インズマスの影」が収録されています。
 コズミックホラーとは、絶対的な何者かからの恐怖を描いたジャンルです。この巻に収録されている話も、人智を越えた世界へと足を踏み入れていく内容になっています。闇に閉ざされた街、狂気を孕んだ山脈、深く暗い水の底など…。様々な世界へ彼は誘ってくれるでしょう。
 私は、この本を読み、コズミックホラーの一端に触れることができました。読めば読むほど世界に引き込まれ、危うく正気を失うところでした。この本が気に入ったなら、別の作家のコズミックホラーを読むのも良いかもしれません。
ページ先頭へ
図書館TOPに戻る 一覧のページに戻る