高松キャンパス
香川県小学校教育研究会の高松支部理科部会における夏季研修会を開催しました。
20110728更新
 7月22日(金)に、本校高松キャンパスにおいて、高松市立などの小学校理科の先生方向けの研修会を開催しました。研修会では、「物質の物質の多様性を見て、触って、整理する実体験」を研修題目に選び、文部科学省製作の「一家に1枚周期表」を参加者約100名に配って、関連する講義と実験を行いました。
 全体会の「磁石につく金属とつかない金属」では強力なネオジム磁石に鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウムという金属が本当につくことをその場で確かめました。そして、そんな金属が実は熱すれば、つかなくなることを実証しました。磁石につく金属もその温度が上がっていくとつかなくなるのです。マリー・キュリーの夫であるピエール・キュリーの研究の再現でした。
 分科会では理科部会の報告会をはじめとして3つに分かれました。原子は電子と原子核からできていますが、全体会「磁石につく金属とつかない金属」では電子の織り成す自然を、分科会「元素の作り方、教えます」では原子核の織り成す自然を伝えました。原子核は中性子と陽子からできており、陽子の数に応じて、約110種類もの物質の素、つまり元素ができ上がっていきます。
しかし、中性子の数に応じて元素一つひとつに兄弟姉妹のような同位体が数多く自然には存在していて、それまで含めると、物質の素は約3000種類も実際にあることを「核図表」という特別な表で学びました。周期律表の鉄までは元気な星の中で作られますが、鉄より重い元素は壊れ行く特別な星の中で生まれ、ニュートリノというものがあって初めて作られます。それを観測して、小柴昌俊先生はノーベル賞を取りました。
 分科会「水銀の固体、液体、気体」の実験では、ドライアイスで水と水銀を凍らせ、固まり行く様子を観察しました。液体の水銀は銅線のように金属の役目をするので、電池につないだ豆電球が光りました。液体の水銀には1円玉やコバルトの金属は浮き、フィラメントの材料のタングステンや指輪に使う白金は沈みます。ガラス管の中に閉じ込めた液体の水銀を炎で熱し、気体に移っていく様子も観察しました。
 サイエンスクラブは、磁石の周りの様子をあらわす磁力線の実験を、ビニールでおおった針金を細かく切って行いました。細かい砂鉄で行う従来の実験より手が汚れず、磁力線の広がりがよくわかり、磁力線を実感できます。
 小学校の先生方にはすべてが好評で、時間が経つのを忘れ、記憶に残る研修会でしたとの感想を頂き、私たち高専の教職員も学生も勉強になりました。昔習った先生と再会できた学生もいて驚きました。