現在の制御技術は社会，経済及び産業のあらゆる分野に浸透しつつあり，特に，産業のハイテク化推進のために果たす役割に期待が集まっている。一方，この分野で新技術を開発し，駆使できる制御技術者の絶対数が不足しており，その育成指導は技術教育界の急務とされている。この状況下で，昭和６０年度に本学科は新設された。
本学科の教育目標は以下の通りである。
(1) ５年間の一貫した技術者教育を目標として，一般教育と専門教育とを有機的に関連づけて，効果的な専門技術教育を行う。また，制御技術の基礎として電子工学，情報工学及び機械工学の素養を修得させるとともに，計測，制御等に関連する広範囲の教育を行う。
(2) 既設の通信，電子，情報に関する学科と密接な連携を保持し，学科間相互協力により効果的な専門技術者教育を行う。
(3) 制御技術の分野の急速な進展に対応するため，創造力，理解力，判断力を養い，新しい技術に関する研究に対応できる柔軟性を持った実践的技術者を育成する。
(1) 専門科目の授業●低学年の工学基礎では，図学，基礎電気工学，情報処理をはじめ電気回路，応用物理，制御工学，電気磁気学，電子回路，デジタル回路等を通して，広い範囲の専門科目を修得できるように配慮されている。●高学年では，工学基礎の延長線上にある上級科目及び即戦力として必要な情報処理技術，ロボット工学を含むメカトロニクスや制御技術などの専門科目を修得できるように配慮されている。すなわち，応用数学，半導体工学，機械力学及び計測工学などの必修科目に加えて，数値解析，確率統計論，制御機器，オペレーションズリサーチ，システム工学，通信理論，固体物理，シ−ケンス制御，知識工学，ロボット工学，流体力学，熱力学，計算機工学，画像処理及び通信システムなどの選択科目が準備されている。
(2) 工学実験及び卒業研究第２学年，第３学年及び第５学年では毎週２時間の工学実験が配当されている。１クラス４グループ制を採用し，四半期毎に異なったテーマについて実験を行う。実験内容としては，ハードウェア関係のテーマとソフトウェア関係のテーマがバランスよく配備されている。第４学年では毎週４時間の工学実験が配当されている。第４学年の前期はＵＮＩＸ及びプログラミング演習，後期は各教官に配属し，それぞれのテーマについて実験を行う。実験内容には，技術者として必要な基礎的なものと応用的なものを含む。さらに，最新の高度専門技術を体験するために，企業の工場見学及び校外実習などを積極的に取り入れている。
卒業研究では，各教官に配属し一つのテーマについて研究を行わせる。研究計画の立案，実験に関する検討及び実験結果の考察などを通して，創造性を活かした独力解決型の探求力の習熟を図るとともに，報告書の作成や口頭発表など発表能力の強化について指導する。