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日本の工業技術は世界一と言われています.工業系の高等教育機関(大学工学系学部・工業高等専門学校)は,その世界一の工業技術を支える工業系技術者を教育し,世の中に送り続けています.もちろん,香川高専高松キャンパス機械工学科も機械系技術者を教育し毎年社会に送り出していますし,社会・企業からの評価も高く多くの求人を頂き,卒業生は毎年100%の就職率を保っています.これらは「香川高専高松キャンパス機械工学科卒業」が機械系技術者としてのある種の「資格」として社会から認められているためだともいえます.しかしながら「資格」として正式に認められたものとはもちろん異なります.将来のために必要な「資格」を取ることは重要なことだと思います.
ここでは,現在日本に存在する資格のうち,香川高専高松キャンパス機械工学科の学生および卒業生に関連するものをできるだけ多く紹介します.さらに,その中で一般的な機械設計技術者として役に立つと思われる資格と現在の本学科カリキュラムの関係について説明します.最後に「日本技術者教育認定制度」についても紹介します.
機械系の高専の学生・卒業生に関係する資格を表1にまとめています.ただし,必ずしも将来役に立つかどうかは不明であったり,在学中や卒業すればすぐ資格を取れるものばかりではなく以下のようなものもあります.
- 高専を卒業後の実務経験を必要とする資格
- ある細分化された特殊な職務に必要な資格
- 高専卒業生は滅多に就かない,技能職に関する資格
実務経験の必要なものはその職務に就いた後に取得すると考えられるので,表1で示した資格のうち在学中に取得可能な実務経験不要なものを選び出すと17あります.また,その難易度や特殊性を考慮すると13程度が取得可能と考えられます.つまり,以下の資格が香川高専高松キャンパス機械工学科在学中に取得可能な資格といえます.
- 機械設計技術者(3種)
- 情報処理技術者
- 情報処理能力検定
- エネルギー管理士(熱管理士)
- 環境計量士(騒音・振動)
- 危険物取扱者(乙種)
- ガス溶接技能者
- 国家公務員Ⅱ種
- 地方公務員
- 実用英語検定
- 工業英検
- TOEFL
- TOEIC
ただし,あくまでも取得可能なものを示しただけであり,取得にあたっては各資格ごとに行われる試験に合格する必要があります.また,高専を卒業した後に着く職務において必要かというと必ずしもそうではないものも含まれています.
表1 機械系の資格一覧
分類 |
資格名 |
受験資格 |
試験回数 |
備 考 |
公務員 |
国家公務員Ⅱ種 |
高専・短大卒見込み者
あるいは21~29才までの卒業者 |
年1回 |
|
地方公務員 |
年齢制限あり |
年1回 |
|
英語 |
実用英語検定(英検) |
制限無し |
1,2級:年2回
準2級~5級:年3回 |
|
工業英検 |
制限無し |
年2回 |
|
TOEFL |
制限無し |
毎月1回 |
|
TOEIC |
制限無し |
年3回~6回 |
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科学技術 |
技術士 |
7年以上の実務
技術士補取得後4年以上の実務 |
年1回 |
|
技術士補 |
制限無し |
年1回 |
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機械設計技術者 |
1級:高専卒業後11年以上の実務
2級:5年以上の実務 3級は制限無し |
年1回 |
|
原子炉主任技術者 |
6ヶ月以上の実務 |
年1回 |
|
技能 |
技能士
(各分野あり) |
学歴・実務経験年数により
3級から特級まで細かく別れている |
原則として年2回 |
|
航空 |
航空機関士 |
18才以上で100時間以上の登乗実務 |
年2回 |
|
航空整備士 |
1級:21才以上,3年以上の実務
2級:20才以上,3年以上の実務
3級:18才以上,1年以上の実務 |
1級:年2回
2,3級:年3回 |
|
航空工場整備士 |
21才以上,3年以上の実務 |
年2回 |
|
自動車整備 |
自動車整備士 |
1級:2級合格後実務3年
2級:3級合格後実務3年
3級:15才以上実務1年 |
年2回 |
|
情報 |
情報処理技術者 |
制限無し |
年2回 |
|
情報処理能力検定 |
制限無し |
年3回 |
|
溶接 |
溶接技術者 |
等級により実務経験年数が異なる |
年2回 |
|
ガス溶接作業主任者 |
講習後実務3年あるいは
大学・高専で溶接の科目を履修した者 |
年2回 |
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ガス溶接技能者 |
制限無し |
地域により異なる |
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溶接作業指導者 |
30才以上,資格所持8年以上 |
年1回 |
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ボイラー
タービン |
ボイラー技士 |
特級:1級取得後実務5年以上
1級:2級取得後実務2年以上
2級:講習修了者,実務6ヶ月以上
学歴で実務期間異なる |
特級 年1回
1級:年6~10回
2級:月1,2回 |
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ボイラータービン
主任技術者 |
高卒以上,
1,2種とも学歴で実務期間異なる |
申請で取得随時申請可 |
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ガス |
ガス主任技術者 |
制限無し |
年1回 |
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高圧ガス製造保安責任者 |
制限無し |
年1回 |
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環境安全 |
エネルギー管理士 |
制限無し |
年1回 |
|
公害防止管理者 |
制限無し |
年1回 |
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環境計量士 |
制限無し |
年1回 |
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危険物取扱者 |
甲種:高専・大学で化学の科目修得,
乙種取得後実務2年
乙種:制限無し |
都道府県により異なる |
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非破壊検査技術者 |
18才以上,
等級により実務年数が異なる |
特級:年1回
1~3種:年2回 |
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3.資格試験内容と香川高専高松キャンパス機械工学科のカリキュラムの整合性
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現在の香川高専高松キャンパス機械工学科のカリキュラムは,将来,一般的な機械設計技術者として働くのに要求される基礎学力・応用能力を養うことを目的に作られている.したがって,表1に挙げた大半の資格は特殊な分野に細分化された個々の職場資格という色彩が強いためカリキュラムの整合性は無い.
一般的機械設計技術者として取得するのが望ましい3つの資格およびそれらの試験内容と香川高専高松キャンパス機械工学科のカリキュラムとの対比結果をまとめて表2に示す.「機械設計技術者(3級)」が本学科のカリキュラムに一番整合性があることがわかる.環境安全の分野でも「エネルギー管理士(熱管理士)」が本学科のカリキュラムに整合していることがわかる.また,本学科はコンピュータに強い機械技術者の育成を目標としているので「情報処理技術者」にも整合性が見られる。
表2 機械工学科として取得することが望ましい資格の試験内容と本学科カリキュラムとの比較結果
(★:本学科授業に該当科目有り,▲:一部を授業で習う)
資格名 |
機械設計技術者
(3級) |
エネルギー管理士
(熱管理士) |
情報処理技術者
|
試験内容 |
機構学・機械要素設計学★
材料力学★
機械力学★
流体・熱工学★
制御工学★
工業材料★
工作法★
機械製図★ |
熱管理概論・法令▲
熱利用設備など▲
熱力学★
伝熱・流体の流れ★
燃料概論・燃焼計算
計測・制御▲ |
「基本情報技術者試験」
と
「初級システムアドミニストレータ試験」
が対応します。
試験内容の詳細は、
ここを参照してください。
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日本の工業技術は優れており,工業製品の輸出は常に黒字を続けています.
それに加えて1992年以降は,工業製品の輸出だけでなく工業技術の輸出についても黒字に転じました.
さらに政治・経済・産業などの国際化に伴い,技術者の活躍の場も大幅に国際化し,
技術者をも輸出する時代になったといえます.このような情勢の中で,
技術者には「国際的に通用する技術資格」の認定制度の確立が求められるようになりました.
これを受けて1999年秋,日本技術者教育認定機構(JABEE)が発足しました.
この機構が高等教育機関(大学工学部および専攻科を持つ高等専門学校)に対して,
それぞれの学科で実施されている技術者教育プログラムが「国際的に通用する技術者教育プログラム」
であるか否かを評価するのです.
そして,認定された教育プログラムの修了者は諸外国で行われている技術教育と同等の水準にあると
認められ,さらに,海外で就職したり技術者資格を取得する際に不利にならないようになるわけです.
香川高専高松キャンパスでは1999年春,専攻科が設置されたことによって,JABEEの認定を受ける権利を持っています.
香川高専高松キャンパス機械工学科は,継続してこの認定基準を満たすべく教育プログラム改善作業を常に進めています.詳細はこちらをご覧下さい。
機械設計技術者:日本機械設計工業会
技術士:日本技術士会
エネルギー管理士:省エネルギーセンター
情報処理技術者:情報処理技術者試験センター
英語関係:TOEFL/TOEIC/日本英語検定協会/日本工業英語協会
資格試験,テスト(Yahoo!JAPAN)
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