電気通信主任技術者資格と工事担任者資格は,電気通信事業法に定めのある国家資格です。これらの国家資格は,昭和60年4月の電気通信制度改革の際に誕生した資格です。この資格の詳細は,電気通信主任技術者規則(省令),工事担任者規則(省令)で定められています。
電気通信事業者は,電気通信主任技術者を選任して,事業用電気通信設備を技術基準に適合するよう維持しなければなりません。また,電気通信回線設備に端末設備又は自営電気通信設備を接続しようとするときは,工事担任者に工事を行わせ,または実地に監督させなければなりません。これらのことは,電気通信事業法で定められています。これらの資格によって,技術者は通信事業設備についての作業範囲が制限されています。
国家試験として実施されますが,(財)日本データ通信協会が国に代わって試験を実施しています。
工事担任者資格制度では,工事担任者規則の改正省令が平成17年4月22日に公布され、8月1日から実施されています。「今回の改正は、時代の要請に対応する形で、資格者証の種類と工事の範囲が全面的に見直されたもので、工事担任者資格制度に関する改正としては、大幅な改正となっています。」(工事担任者資格制度改正のご案内から)
資格
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資格者証の種類
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備考(おおまかな工事範囲)
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工事担任者
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AI第1種
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アナログ伝送路設備(アナログ信号を入出力とする電気通信回線設備をいう。以下同じ。)に端末設備等を接続するための工事及び総合デジタル通信用設備(注)に端末設備等を接続するための工事。 |
AI第2種 |
アナログ伝送路設備に端末設備等を接続するための工事(端末設備等に収容される電気通信回線の数が50以下であって内線の数が200以下のものに限る。)及び総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事(総合デジタル通信回線の数が毎秒64キロビット換算で50以下のものに限る。)。
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AI第3種 |
アナログ伝送路設備に端末設備を接続するための工事(端末設備に収容される電気通信回線の数が1のものに限る。)及び総合デジタル通信用設備に端末設備を接続するための工事(総合デジタル通信回線の数が基本インタフェースで 1のものに限る。)。 |
DD 第1種
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デジタル伝送路設備(デジタル信号を入出力とする電気通信回線設備をいう。以下同じ)に端末設備等を接続するための工事。ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く。 |
DD 第2種 |
デジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事(接続点におけるデジタル信号の入出力速度が毎秒100メガビット以下のものに限る。)。ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く。 |
DD 第3種 |
デジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事(接続点におけるデジタル信号の入出力速度が毎秒100メガビット以下のものであって、主としてインターネット接続のための回線に限る。)。ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く。 |
AI・ DD総合種
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アナログ伝送路設備又はデジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事。 |
(注)「総合デジタル通信用設備」とは、電気通信事業の用に供する電気通信回線設備であって、主として毎秒64キロビットを単位とするデジタル信号の伝送速度により、符号、音声、その他の音響又は影像を統合して伝送交換することを目的とする電気通信役務の用に供するものをいいます。これは、いわゆるISDNのことを示しています。